よくある質問

 

1. 現況

 
1.1. なぜこのプロジェクトをはじめたのですか?
 
今、地球の生物は歴史上最速の、第6番目の大量絶滅に向かっていると言われています。国際自然保護連合 International Union for Conservation of Nature (IUCN) によると哺乳類の21%、鳥類の12%、両生類の30% 、爬虫類の28%、淡水魚の37%、植物の70%、無脊椎動物の35%が絶滅危機ということなのです。 私達人間にとっても気候変動という異常な事態に直面していると言われています。
 
ホロカトマム山林の自然保護目的のプロジェクトは比較的小さい規模の面積なので、たくさんの二酸化炭素を吸収させたり、たくさんの自然界の生き物を助けるというような規模ではありませんが、一人でも多くの人に影響を与えることができたらと思うのです。個人個人が地球環境に責任を感じ、何かまだ出来ることがあるのではないかと考えるきっかけになればいいと思うのです。
 
参照: Holocene extinction (Wikipedia)
Extinction crisis continues apace (IUCN) 3 November 2009
 
1.2. プロジェクトの名前は何ですか?
 
生物多様性や自然を保護するこの領域に「 ホロカトマム山林 」と名前をつけました。領域の中心となる山が「丸山」という名前なのですが、山の名前ではなく川の名前を使用しようと決めました。ホロカは丸山よりも短い名前で、より見つけやすく、歴史的にもこの地区はホロカと呼ばれておりました。ホロカとはアイヌ語で「あと戻りする」すなわち上より下に流れて来た川が、地勢の関係で途中で逆に上方に流れ戻る意とされています。
 
元々はホロカトマム自然保護区と名付けようと思っていました。IUCN World Commission on Protected Areas によれば、「自然保護区」というコンセプトに合致していたからです。しかしながら日本自然環境保全法(1972)によれば、公共の機関でない組織による環境プロジェクトで「自然保護区」と名付けるには、特別な条件を満たしている必要があることと、複雑な手続きを経ることが必要だということでした。
 
1.3. 生物多様性年2010に参加しましたか?
 
はい。このプロジェクトをConvention on Biological Diversity (United Nations Environment Programme) に登録しました。 国連生物多様性 10年 (2011-2020) ロゴを使用する許可も頂きました(一番下を見て下さい)。
 
1.4. 自然保護に関する様々な専門的なことはどう対処するのですか?
 
各分野の専門家、科学者、自然活動家、IT関連の方々から様々な分野でアドバイスをもらっています。具体的には、自然/野生の土地管理のエキスパートであるスコットランド John Muir Trust との関わりや、自然環境に関わる調査を専門としている札幌市にある 地域環境管理計画(ちいかん) 北海道支社に御願いして、地理情報システムを立ち上げています。また、高名なナチュラリストであるMark Brazil先生に鳥類調査についてのアドバイスを頂いています。植物については植物学コンサルタントのBen Averis先生にご助言を頂いています。
 
1.5. GISまたはGPSは使用しますか?
 
はい。地域環境管理計画(ちいかん)に地理情報システムGISのセットアップに関わって頂いています。GIS (geographical information system) のソフトはQuantum GISです。GPSを使用して記録を残せるようなシステムになる予定です。
 
1.6. このプロジェクトは里山のようなものですか?
 
ホロカトマム山林の丸山は里山(居住地の近くの山)ではなく、一般的に使われる言葉で言えば「奥山」に属します。というのも、最も近い居住地からはかなり離れておりますし、調べてみても、20世紀開拓以来は人間の手がほとんど入っていない山林です。
 
「里山」の定義は「集落の周囲の山々や丘の斜面にある畑や雑木林」で、広葉樹林は10年から20年ごとに根を残して伐採され、薪や木炭に利用されたとあります。残された根からは再び芽が出るので、繰り返して利用されたようです。(出典:里山の環境学 武内 和彦他 東京大学出版会)
 
イギリス人のサイモンの目からみるとこのホロカトマムのあたりはイングランドの典型的な風景ではなく、スコットランドで見られるような 「野生の土地」のようだと言っています。
 
 

2. 2011-2012年の計画

 
2.1. どんなアクセス道・歩道を作るのですか?
 
2010年7月22日から2010年9月27日にかけて、南北にまたがる1.6kmの頂上越えの歩道を完成させました。木は切らずに生い茂った笹を刈って作りました。幅は約2mの歩道です(2011年7月に2回目の笹刈りを行いました。2012年7月に3回目の笹刈りを行いました。)。
 
この頂上越えの道を山麓西側の川沿いの道とつなげ、2km程度の距離を川に沿って歩いて戻ってくる一周できるような歩道にしたいと考えておりますが、その完成のためには自治体の許可によるのでどうかという状況です。

2.2. 動物の調査はするのですか?
 
調査を行っています。主に中型と大型の哺乳類の撮影をする目的で2台の自動撮影をするビデオカメラを2台山林中に設置し動画が撮れるようにしました。このカメラでは。小型の哺乳類に関しては、小型フィルムカメラを時期を変えて二回、4台と5台のを2週間と3週間、山林内に設置をして撮影を行いました。これらの調査の結果が出ております。興味深い内容になっておりますので、進展具合はチェックリスト野生動物(哺乳類)に反映していきたいと考えています。
 
2.3. 野鳥の調査はするのですか?
 
調査を行っています。今年(2011年)第1回目の調査を行いました。このウエブ上に仮の野鳥リストを掲載しています。
 
2.4. 植物の調査はするのですか?
 
2012年を予定しています。植生調査は中でも一番大切な調査になると思います。現在、植物学者と話し合いをすすめています。私達は植物社会学の分類を用いて調査をする予定で、この分類は環境庁にも承認されているスイスの植物学者 Josias Braun-Blanquet (1884-1980)の研究を参考にしています。植物社会学的調査方法を使用すること、それは、植物の分類が系統だてて記述されることと、植物の出現の仕方が予測しやすい性質をもつこと、また、環境保全問題解決に役立てやすいなどの理由で、実際に使用しやすい情報が得られるからです。全植生の種類などのリストを記述することを目的とした調査では、結果を利用しにくいと考えました。
 
2.5. 土壌調査はしますか?
 
土壌サンプルを採取して調査をしようと思っています。上川郡土壌図 (1:200,000) によるとホロカトマムの領域は「褐色森林土」となておりますが、詳細な調査がされたことはないだろうと考えています。
 
2.6. 長期管理計画 'マネージメントプラン'を立てますか?
 
管理計画マネージメントプランを立てます。様々な情報を集め、総合的に判断できるようになるには2-3年かかるのではないかと思っています。取りかかりとして、まずは地理、地質、土壌、植物、小動物(虫など)動物や鳥などを調べるのと同時に、この土地の歴史を調べ、この土地の魅力を見つける事、もしくは、問題点を見つけるように尽力いたします。
 
2.7. 見に行く事はできますか?
 
皆様に見て頂きたいと思います。そのためにどなたにでも見に来て頂けるように安心な遊歩道を完成させるのが先決だと思っています(スコットランドには国有地・私有地の別なく、自然の土地は自由に歩けるという法律があり、このようなフリーアクセスがあることをとてもよい事だと思っています)。
 
また一般公開の前に最初の一歩としてプロジェクトに関わっていただける少人数のメンバーを集めたいと思っており、フレンズを募集しています。
 
 

3. 長期計画

 
3.1. 似たような活動をしている他の機関と協力したらいいのではないですか? 
 
はい。協力や参加をお願いできるものはしていくつもりです。自然保護に関して言えば国際的にも個人のプロジェクトに協賛している機関が年々増加しています。例えば、The Ramsar List of Wetlands of International Importance が有名ですし、 Birdlife International 重要野鳥生息地 (IBA) 日本野鳥の会でリストされているように、北海道にはこのIBAが31箇所あがっています。Plantlife International では野鳥と同じような考えで、希少な植物を重要植生地域 Important Plant Areas (IPA) としていますが日本にはまだないようです。は虫類、両生類などなどのリストも次々に作成されてきています。このようなリストは国際自然保護連合 Red List がはじまりだと思われ、生物多様性保護に注目した様々な取り組みが見られています。
 
3.2. まず笹を刈らなくてはいけないのでは?
 
まだ決めていません。一般的に笹を刈る事によって他の植物がよく育つようになることは知られています。科学的にも笹刈りの研究が行われています。e.g Kobayashi, Tsuyoshi et al. Understory removal increases carbon gain and transpiration in the overstory of birch (Betula ermanii) stands in northern Hokkaido, Japan または、Takahashi, K et al (2003) Effects of understory dwarf bamboo on soil water and the growth of overstory trees in a dense secondary Betula ermanii forest, northern Japan)など。
 
しかし、人間の手による介入については慎重に行いたいと考えています。笹に関して言えばどの笹が問題となっているのか見極める事が必要でしょう (Sasa senanensis や kurilensis)。笹は二酸化炭素吸収に関与しているはずですし、山林の斜面の安定性にも寄与しているはずです。0.5km四方の面積の笹をどうやって刈るかという問題もあるわけです。
 
3.3. どんな設備がありますか、例えばビジターセンターなど建てますか?
 
最終的にはビジターセンターや訪問者や研究者ための宿泊棟などを建てたいと思っています。必要な電気は自家発電(マイクロ発電)にするつもりでいます。電線を引っ張って来たり、電柱を立てるようなことは一切しない予定です。
 
3.4. 個人でしているプロジェクトなのですか?
 
今は個人で立ち上げたプロジェクトです。しかし最終的には未来永劫、保護されるべき場所になるように公共に働きかけて行くつもりでいます。そのために、財団やNPOなどの組織(法人)を作る事を考えなくてはいけないと思っています。 現在北海道に対してこの山林を保安林指定にするように申請するかどうかを検討しています。この山林は国有林に囲まれていますが、ここの国有林は保安林指定になっていますので、 相互協力できる可能性が高いと考えています。
 
SCH and MMH, 18 September 2012
 
 
dblogoe72.jpg