ホロカトマムの魚類の調査 2015

2015年6月1日及び9月18日に魚類調査が施行された。

調査は知床国立公園(世界遺産)北海道認定ガイド(生物産業学)笠井文孝博士による監督のもとに施行された最初の河川魚類調査になった。2015年5月19日に視察を兼ねての打ち合わせを皮切りに、2015年6月1日及び9月18日の2回に亘り調査を行った。

背景

ホロカトマム山林生物多様性保護区は四ノ沢川(文字通り4番目の川の意)を含む。四ノ沢川はホロカトマム川の支流で、ホロカトマム川は鵡川の支流になる。鵡川は北海道に13存在するクラス1級河川のひとつである。これまでに保護区内や河川流域でカエル、トカゲ、サンショウウオなどは確認していたが、泳いでいる魚を見かけることはなかった。保護区の標高は約500mと高く、河川は2-4mの幅はあるものの、深さは20cm程度の浅さである。またホロカトマム川から8km下流にユウベノ沢堰と呼ばれている高さ約1.5mの堰堤があり、魚の遡上には障害になるだろうと予測された。

方法

2015 年6月1日、流路長50m範囲にてドライスーツィによる直接目視および水中撮影、タモ網による採捕。2015年9月18日、四ノ沢を流路に沿い上流1.6kmまでサクラマス親魚と産卵床の調査を行った。

結果

結果は我々の予想を上回るものであった。ニジマス (Oncorhynchus mykiss)、ヤマメ(サクラマス:Oncorhynchus masou)、アメマス (Salvelinus leucomaenis)、フクドジョウ (Barbatula toni) の4種が確認された。ニジマスは東太平洋から外来種で、それ以外は全て在来種であった。

採捕の状況から種の比率を推測すると、ニジマス40%、ヤマメ35%、アメマス20%、フクドジョウ5%前後と考えられた。
一般にヤマメの降海型をサクラマスと呼ぶ。北海道において、ヤマメの親魚はほとんどサクラマスと推定されていることから、ホロカトマム山林では海から陸への連続性が保たれている可能性が高い。鵡川本流では前述の通り、ユウベノ沢堰があるが、サクラマスはこの河川工作物を超えて、120km離れたホロカトマム山林保護区内四ノ沢川まで達していると考えられる。
ホロカトマム山林のような環境を好む魚類として別にハナカジカ (Cottus nozawae)、シベリアヤツメ類 (Lethenteron kessleri) などがいるが、今回の調査では観察できなかった。
参考
魚類チェックリスト
目視したメスのサクラマス親魚(2015年9月18日)
笠井文孝博士によるホロカトマム山林河川魚類調査レポート
 
 
Simon Holledge, 28 November 2015
 

採捕の状況から種の比率を推測すると、ニジマス40%、ヤマメ35%、アメマス20%、フクドジョウ5%前後と考えられた。一般にヤマメの降海型をサクラマスと呼ぶ。北海道において、ヤマメの親魚はほとんどサクラマスと推定されていることから、ホロカトマム山林では海から陸への連続性が保たれている可能性が高い。鵡川本流では前述の通り、ユウベノ沢堰があるが、サクラマスはこの河川工作物を超えて、120km離れたホロカトマム山林保護区内四ノ沢川まで達していると考えられる。ホロカトマム山林のような環境を好む魚類として別にハナカジカ (Cottus nozawae)、シベリアヤツメ類 (Lethenteron kessleri) などがいるが、今回の調査では観察できなかった。

参考

魚類チェックリスト
メスのサクラマス親魚 (ビデオ:2015年9月18日)
笠井文孝博士によるホロカトマム山林河川魚類調査レポート

 

Simon and Masumi Holledge, 1 Jan 2016

 

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